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チキンラーメンの奇跡!
NHK朝の連ドラ「まんぷく」をご覧の方も多いと思います。
日清食品の創業者安藤百福が世界で初めて作った即席ラーメン誕生の物語です。
安藤氏が「チキンラーメン」をこの世に生み出して60年。
今や即席麺が世界で消費される量は年間で約1000億食。まさしく食文化の革命を起こした人です。
安藤氏が即席ラーメンを世に送り出した経緯を少し紹介します。

先ず、即席ラーメンを発明する頃の安藤百福は全財産を失っています。
当時から事業の才覚のあった彼は、メリヤスや幻灯機、軍用機のエンジン等を手掛け巨万の富を築いていました。
ところが、乞われて信用組合の理事長に就任すると、その5年後にその信用金庫が経営破綻。百福はその責任を取り私財を投げ打ち無一文になります。そんな逆境の中で、即席ラーメンの開発に取り組んだのです。
かつて理不尽な理由で投獄され拷問を受け、食事さえとれない日々を経験した百福、生きる為の食べ物の大切さは身に染みていました。
そして終戦!食べ物を求めて、闇市のラーメン屋台に長蛇の列が…。
「衣食住というが、食がなければ衣も住もあったものではない」そんな思いが彼を即席ラーメンの発明に駆り立てたのです。
とは言え資金もなく、何もかも自分で行うしかありません。庭の片隅に小屋を作り研究に没頭します。
朝の5時から夜中まで麺を作り、ゆでて、失敗した麺を捨てる。ひたすらその繰り返し、気が遠くなる作業を続けます。
そして昭和33年ついに完成!百福48歳の時でした。
この年齢で無一文から世界初の即席ラーメンの開発という偉業を成し遂げたのです。
更に、彼は56歳の時に米国へ行きある光景を目にします。
現地の人は、紙コップの中にチキンラーメンを割って入れ、湯をかけフォークで食べている。それを見て、今度はカップヌードルを発明するのです。
百福はこう述べています。「人生に遅すぎるということはない。50歳でも60歳でも新しい出発はある」とても勇気の出る言葉ですね。

百福は96歳でその生涯を閉じます。
訃報を受け、ニューヨーク・タイムズは社説で「ミスターヌードルに感謝」という見出しを掲げ、「安藤氏は人類の進歩の殿堂に不滅の地位を占めた」とその業績を絶賛しました。
そして「この即席麺を会社の組織のチームで開発された奇跡と思っていたがそうでなかった。
安藤百福と言うたった一人の力で開発されたものだった」と驚きを表現したのです。
何か事を成す為に努力する。夢が大きいほど大きい壁にぶつかる。その壁を乗り越えるとまた壁にぶつかる。
その繰り返しで人生は進む。いつまでも、熱い気持ちであり続けること。それを教えられた安藤百福の生涯でした。


梅津寿光