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新米の季節に思う。
新米の美味しい時期です。
原発事故から6年9か月、依然、福島の米の価格が回復していません。
震災前、市場の福島米の評価は「高品質で他地域よりやや高い商品」の位置づけだったと言います。
最上級「特A」の常連である会津コシヒカリでさえ、相対的な値段は下げたままです。
会津地方は福島第一原発から100キロ以上離れていて、他県の放射性物質の線量とは変わりません。
しかし同じ福島産のため影響は免れず、事故前は、新潟コシヒカリに追いつける意気込みと感触でしたが、今はもうお手上げと言います。

そして、農業関係者は話します。

「放射能対策、安全対策、風評解消対策、この6年余り、手を尽くしてきたが戻らない。これは、科学的な安全性の問題ではない…もう事故前には戻らない」

ここに、意外な問題が潜んでいます。実際消費者に聞いても福島米を拒否しているのは2割程度。風評にこだわっているのは、むしろ流通段階にあるという指摘があります。

長年かけて築いてきた福島ブランドが原発事故で壊され、低価格のまま定着してしまった。

流通業者は福島という地名を恐れ、家庭用から業務用にとシフトし、それは、現在も続いています。
高値で売れる家庭用でなく安価な業務用、そしてブレンド米としてのルートが確立しているのです。
福島産の米の3割は県内で消費され、7割が全国の小売業者に出荷されています。
家庭向けの販売は原発事故前の5分の1に減少したままですが、レストラン、スーパー、コンビニのおにぎり、弁当に使用する業務用米の引き合いは以前より増えているのです。
安くて味は良いのですから当然です。
業務用米は産地を表示する必要がありません。ブレンド米も他県産の米と混ぜれば、国産米という表示だけで福島の名前を出さずに済むのです。

こうして起こっている風評被害ですが、農業生産が出来る地域に起こっている問題で、まだ帰れない、生産さえ出来ない地域があるのも事実なのです。
原発の廃炉まで40年以上かかると言われています。
過去のBSE(狂牛病)や鳥インフルエンザの風評被害と違って、安全回復の時期が全く見通せないのです。
かなりの難問ですが、知恵を出し合って、福島の農業の未来に向けて挑戦する時です。
先日、私達のリーダーとなった新福島市長の手腕にも大いに期待です!


梅津寿光